動詞の変化について1 現在形の人称変化
フィンランド語では、動詞が主語によって形を変えます。そうすることで、主語の省略が可能となっており、実際省略される場合が多いです。(フィンランド語の辞書の見出し語になる動詞は全て"a"で終わります)
変化の種類は現在形の6種類。過去形も加えれば12つ。否定形も付け加えて合計24種類にも上ります。そう聞くと一見難しそうに感じますが、法則さえ覚えてしまえばあとは簡単です。(ちなみに、否定形、命令法、条件法、可能法の変化も数えると結構膨大になります)
この記事では、現在形の変化6種類のみを扱っていこうと思います。
- "付ける文字"の基本形
- 最後に母音が2つある動詞
- 最後の文字が -da / -dä の動詞
- 語尾が-ata/-atä、-ota/-otä、-uta/-utäの動詞
- 語尾が-ita/-itäの動詞
- 語尾が-eta/-etäの動詞
- 語尾が-la/-lä、-na/-nä、-ra/-rä、-sta/-stäの動詞
"付ける文字"の基本形
付ける文字は一部の例外をのぞき以下の通りとなります。
一人称単数=-n、二人称単数=-t、三人称単数=最後の母音を一つ足して二重母音に、一人称複数=-mme、二人称複数-tte、三人称複数=vat
また、第三単数形は取り除くだけのものもありますので注意してください。
最後に母音が2つある動詞
最後の"-ä"又は"-a"を取り除き、残った部分に表の通りの文字を付けます。
辞書形:puhua(話す)を例にすると、こうなります。
主語 | 付ける文字 | 変化形 |
minä(一人称単数) | -n | puhun |
sinä(二人称単数) | -t | puhut |
hän(三人称単数) | 母音を伸ばす | puhuu |
me(一人称複数) | -mme | puhumme |
te(二人称複数) | -tte | puhutte |
he(三人称複数) | -vat | puhuvat |
最後の文字が -da / -dä の動詞
"-a"だけではなく、語尾の"-da"を丸ごと取り除きます。
辞書形:Syödä(食べる)を例にすると、こうなります。
主語 | 付ける文字 | 変化形 |
minä(一人称単数) | -n | Syön |
sinä(二人称単数) | -t | Syöt |
hän(三人称単数) | 取り除くだけ | Syö |
me(一人称複数) | -mme | Syömme |
te(二人称複数) | -tte | Syötte |
he(三人称複数) | -vät | Syövät |
語尾が-ata/-atä、-ota/-otä、-uta/-utäの動詞
語尾"-ta"、"-tä"の"t"(赤太字の部分)部分を取り除き、そしてその次に「付ける文字」を付け加えます。(分かりづらければ、いったん"-ta/-tä"を取り除き、"-a"を足すと考えてください。)
辞書形:pudota(落とす)を例にすると、こうなります。
主語 | 付ける文字 | 変化形 |
minä(一人称単数) | -n | putoan |
sinä(二人称単数) | -t | putoat |
hän(三人称単数) | 二重母音に | putoaa |
me(一人称複数) | -mme | putoamme |
te(二人称複数) | -tte | putoatte |
he(三人称複数) | -vat | putoavat |
※"d"が"t"になっているのは、子音階程交替という現象によるものです。後日また説明しようと思います。待ちきれない場合はググってみてください。恐らく見つかります。
語尾が-ita/-itäの動詞
さっきのと間違えないように注意です。
語尾から-ta/-täを取り除き("i"は取り除きません!)、"tse"を付け足し、その後に「-n、-tなど」を付け加えます。
辞書形:tarvita(必要)を例にすると
主語 | 付ける文字 | 変化形 |
minä(一人称単数) | tse+-n | tarvitsen |
sinä(二人称単数) | tse+-t | tarvitset |
hän(三人称単数) | 二重母音に | tarvitsee |
me(一人称複数) | tse+-mme | tarvitsemme |
te(二人称複数) | tse+-tte | tarvitsette |
he(三人称複数) | tse+-vat | tarvitsevat |
語尾が-eta/-etäの動詞
語尾から"-eta/-etä"を取り除き、"ne"を付け足し、その後に「-n、-tなど」を付け加えます。
辞書形:vanheta(歳を取る)を例にすると
主語 | 付ける文字 | 変化形 |
minä(一人称単数) | ne+-n | vanhenen |
sinä(二人称単数) | ne+-t | vanhenet |
hän(三人称単数) | 二重母音に | vanhenee |
me(一人称複数) | ne+-mme | vanhenemme |
te(二人称複数) | ne+-tte | vanhenette |
he(三人称複数) | ne+-vat | vanhenevat |
語尾が-la/-lä、-na/-nä、-ra/-rä、-sta/-stäの動詞
語尾から"-la/-lä、-na/-nä、-ra/-rä、-sta/-stä"を取り除き、eを足した後「-n、-tなど」を付け加えます。
辞書形:nousta(上がる)を例にすると
主語 | 付ける文字 | 変化形 |
minä(一人称単数) | e+-n | nousen |
sinä(二人称単数) | e+-t | nouset |
hän(三人称単数) | ee(二重母音に) | nousee |
me(一人称複数) | e+-mme | nousemme |
te(二人称複数) | e+-tte | nousette |
he(三人称複数) | e+-vat | nousevat |